原著
空腸による食道再建―術後機能面からの検討
畑野 良侍, 吉野 邦英, 滝口 透, 河野 辰幸, 船越 千郷, 山崎 繁, 毛受 松寿
東京医科歯科大学医学部第1外科
著者らは昭和48年から10年間に食道癌78例,良性食道狭窄2例の計80例に空腸による食道再建を行ったが,直死,入院死を除く56例のうち術後5カ月から5年5カ月までの生存者10例を対象に代用食道としての機能を亜全胃による再建例,回結腸による再建例と比較検討し以下の結論を得た.(1)亜全胃による再建例と異なり回結腸,空腸による再建例では逆流愁訴は全くなかった.(2)空腸による再建例,回結腸による再建例では嚥下により伝達性の陽性波の発生をみた.(3)空腸の「たるみ」例では時に「つかえ感」がみられた.(4)胃を残置せしめた再建例では時間の経過とともに満足すべき1回摂食量がえられた.(5)再建経路としては嚥下圧が有効に働く胸骨後がすぐれていた.
索引用語
空腸による食道再建, 食道内圧測定, 代用食道
日消外会誌 16: 2045-2052, 1983
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