原著
噴門癌の外科的治療における問題点―近側胃切除術と胃全摘術の比較―
三隅 厚信, 赤木 正信, 馬場 憲一郎, 三隅 克毅, 庄嶋 健, 大津 省光, 谷村 正憲, 近藤 浩幸, 有馬 幸一, 本明 宣彦, 堀 志朗, 吉仲 一郎
熊本大学医学部第2外科
噴門癌の外科的治療における問題点,ことに近側胃切除(近切)か胃全摘(全摘)かの術式の選択について,近切86例,全摘50例を対象として,両術式の根治性,安全性,術後障害の面から考察を加えた.近切は全摘に比べて,根治性で劣ることが多く,安全であるといいきれないし,術後障害の面でも期待されたほど優れているとの成績が得られなかった.したがって,噴門癌を含む上部胃癌の外科治療においては,十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定すべきであり,その際切除範囲が大で胃底腺粘膜の一部を残すことができない場合は幽門側胃温存の意義は極めて少ないものと考えられた.
索引用語
噴門癌, 上部胃癌, 近側胃切除術, 胃全摘術
別刷請求先
三隅 厚信 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第2外科
受理年月日
1983年10月18日
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