原著
健常人と滑脱型食道裂孔ヘルニア症例の胃・食道逆流パターンと逆流性食道炎の病因について
渡辺 正敏, 旭 博史, 石田 薫, 阿部 正, 近藤 宗兼, 小川 将, 天野 一之, 金 直樹, 中村 隆二, 西成 尚人, 杉村 好彦, 森 昌造
岩手医科大学第1外科
健常人7名と逆流性食道炎の有無で分けた滑脱型食道裂孔ヘルニア17例を対象に24時間食道pH測定を行い,gastroesophageal reflux(GER)パターンと食道炎の病因について検討した.健常人のGERは食後1時間に最も多く,時間当りの逆流回数,逆流時間共日中が夜間を上回る値であった.食道炎のある裂孔ヘルニア症例は健常人と比べ,時間当りの逆流回数,逆流時間の双方において日中,夜間共有意に上回る値を示し,また夜間の1回のGER時間は10.5分と最長であった.以上より,正常のGERパターンは嚥下によるLES弛緩と酸自浄能のバランスからなる恒常性を持つことがうかがわれた.また,食道炎発生には酸自浄能の低下がより大きく関与することが示唆された.
索引用語
24時間食道pH測定, 逆流性食道炎, gastroesophageal refluxパターン, 食道酸自浄能
日消外会誌 18: 2257-2262, 1985
別刷請求先
渡辺 正敏 〒020 盛岡市内丸19-1 岩手医科大学第1外科
受理年月日
1985年6月19日
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