原著
咽頭喉頭食道摘出遊離空腸移植再建例における内圧測定からみた移植空腸運動
河野 辰幸, 吉野 邦英, 滝口 透, 山崎 繁, 妙中 俊文, 下重 勝雄, 鈴木 知行, 永井 鑑, 遠藤 光夫, 渋沢 三伸1)
東京医科歯科大学第1外科, 東京医科歯科大学耳鼻咽喉科1)
咽頭喉頭食道摘出術後遊離空腸移植による再建を行った7例を対象とし,移植空腸および残存食道運動につき検討した.静止圧では上部食道括約機構に相当する昇圧帯が認められず,移植空腸部分は大気圧に近い値を示した.空腸の空腹期自律運動は検査時間の27%にみられ,そのうち48%は肛門側への伝播を示す規則性のある連続性収縮波であった.この出現時間は術後経過期間とともに低下する傾向を示し,また食事中の連続性収縮波はまれで,本来の空腸運動周期に類似していた.移植空腸の静止期,自律運動期にかかわらず嚥下による移植空腸内の伝達性陽性波は観察されなかったが,残存食道の運動はほぼ正常のパターンを示した.
索引用語
咽頭喉頭食道摘出術, 遊離空腸移植術, 食道運動機能, 食道内圧測定, 移植空腸の自律運動
別刷請求先
河野 辰幸 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1986年5月14日
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