特集
胃上部癌の手術方針―とくに噴門側胃切除と胃全摘の術後遠隔成績を中心に―
原田 和則, 三隅 厚信, 三隅 克毅, 馬場 憲一郎, 跡部 安則, 近藤 浩幸, 前野 正伸, 本明 宜彦, 金光 徹二, 赤木 正信
熊本大学医学部第2外科
胃上部癌の外科的治療における噴門側胃切除(噴切)か胃全摘(全摘)かの術式の選択について,両術式間の術後機能障害の比較検討を目的として,術後の満足度,術後愁訴,脂肪消化吸収試験,消化管ホルモンの成績などから考察を加えた.脂肪消化吸収試験,術後の栄養障害,消化管ホルモンの面からは噴切が全摘に比べて,また全摘では間置術がRoux-Y術に比べて良好であった.胃上部癌の外科治療においては,十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定することが前提条件であり,根治性を第一義的に考えて術式の選択をすべきである.その際,根治性が保たれ残胃を大きく残すことが出来る場合には噴切適応の意義があると考えられた.
索引用語
噴門側胃切除術, 胃全摘術, 胃術後消化管ホルモン動態
別刷請求先
原田 和則 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第2外科
受理年月日
1986年11月7日
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