原著
腹壁瘢痕ヘルニア57症例の検討
片岡 誠, 林 聰一, 藤井 康, 榊原 堅式, 橋本 隆彦, 高木 格, 谷脇 聡, 桑原 義之, 辻 秀樹, 呉山 泰進, 正岡 昭
名古屋市立大学第2外科学教室
腹壁瘢痕ヘルニア57症例の検討を行った.男女比は1:3.75と女性に多く,年齢は50,60歳台で頻度が高く,既往手術では虫垂炎14例,産婦人科領域14例,胃7例,胆道系7例,イレウス5例,大腸4例,人工肛門3例,その他3例であった.既往手術からヘルニア発生までの期間は1年未満から最長50年まで見られ,胃,胆道系,イレウス手術では発生が早く,虫垂炎,産婦人科領域では術後長期間経過して発生するものが多数見られた.ヘルニア発生の因子として虫垂炎では創感染,イレウスでは同一創での再開腹が挙げられる.当教室で一時期行った上腹部正中切開に対する腹膜筋層一層縫合は,肥満者においてはヘルニア発生の誘因となった.
索引用語
腹壁瘢痕ヘルニア, 肥満者閉腹法, 腹壁創感染
別刷請求先
片岡 誠 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学医学部第2外科
受理年月日
1987年11月18日
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