原著
胃切除後における骨代謝障害と牛乳不耐症の検討
今村 幹雄, 山内 英生, 正宗 良知, 福島 浩平1), 松田 好郎1), 佐々木 巌1), 大内 明夫1)
国立仙台病院外科, 東北大学医学部第1外科1)
胃切除後の遠隔時における骨代謝障害,および乳糖不耐症について検討した.対象は術後2年以上を経過した50例で,micro-densitometry法による骨代謝障害は28例(56%)にみられ,Billroth II法(69%)ではI法(36%)より高頻度であった.橈骨遠位端1/3の部位における骨塩量は,Billroth II法,胃全摘,噴門側切除例ではBillroth I法例に比べ低い傾向にあった.血清カルシウム,リン,alkaline phosphatase(以下,ALP)値はいずれの術式後でも正常範囲にあったが,ALP値はBillroth II法後でやや高値を示した.胃切除後には牛乳不耐症が高率(57~60%)に認められたが,乳糖分解酵素の投与で著明に改善した.骨代謝障害例への活性型ビタミンD3と乳糖分解酵素の併用投与は骨障害の発生予防または改善の上で有効と考えられた.
索引用語
胃切除後骨代謝障害, micro-densitometry法, 骨塩量, 牛乳不耐症
別刷請求先
今村 幹雄 〒983 仙台市宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1988年11月2日
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