原著
早期胃癌の臨床病理学的検討―特に粘膜下浸潤程度について―
種村 廣巳, 下川 邦泰*, 佐治 重豊, 古田 智彦, 東 修次, 宮 喜一, 国枝 克行, 木田 恆, 鷹尾 博司
岐阜大学医学部第2外科, *同 臨床検査医学
早期胃癌(192例)のうち粘膜下浸潤(sm)胃癌(68例)の粘膜下層(sm層)への浸潤程度を新たにsm1,sm2,sm3の3段階に分類し,早期胃癌の臨床病理学的検討を行い,以下の結果を得た.(1)sm層への浸潤程度が強くなるほどリンパ節転移率,脈管侵襲陽性率が高率となった.(2)sm2~3と判定された症例は組織型ではpor,tub2に,肉眼病型では混合型(IIc+IIa),占居部位ではA領域のものに頻度が高い傾向がみられた.(3)sm胃癌再発死亡5例中4例は脈管侵襲陽性のsm2~3例であり,再発様式は肝転移2例,腹膜再発,リンパ節再発,不明が各1例ずつみられた.早期胃癌の術式や術後補助療法の決定に当っては,sm層への浸潤程度をも考慮する必要性があると推察された.
索引用語
早期胃癌, sm 胃癌浸潤程度, sm 胃癌再発様式
別刷請求先
種村 廣巳 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第2外科
受理年月日
1988年10月12日
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