原著
肝切除患者における輸血後肝炎
藤元 治朗, 岡本 英三, 山中 若樹, 藤原 史郎, 加藤 年啓, 古川 一隆, 豊坂 昭弘
兵庫医科大学第1外科
肝切除症例139例を対象に輸血後肝炎の病態を分析した.発症率は26.6%,その内72%は遷延化,8%は劇症肝炎となった.新鮮凍結血漿輪血量は肝炎群は5,150±3,350 ml(M±S.D.),非肝炎群は3,680±2,060 mlで前者は有意に(p<0.05)多量であった.新鮮凍結血漿輸血量別の肝炎発症率は2,000 ml以下は16.6%,2,000~4,000 mlは24.0%,4,000~6,000 mlは38.8%,6,000~8,000 mlは41.6%,8,000 ml以上は45.4%であり輸血量の増加に伴い上昇した.また肝炎発症率は全血輪血量別,肝硬変有無別では有意差を認めないが,HBVキャリアー群は40.5%,非キャリアー群は24.0%と,前者が有意に(p<0.05)高かった.以上より,(1)新鮮凍結血漿大量投与,(2)HBVキャリアーが危険因子と考えられた.
索引用語
輸血後肝炎, 肝切除術, 新鮮凍結血漿, HBVキャリアー
別刷請求先
藤元 治朗 〒663 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第1外科
受理年月日
1988年11月2日
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