原著
経皮経肝門脈枝塞栓術による肝細胞癌 手術適応の拡大に関する検討
広橋 一裕, 酒井 克治, 木下 博明, 街 保敏, 久保 正二, 岩佐 隆太郎, 李 光春, 神納 敏夫1), 松岡 利幸1), 中村 健治1), 中塚 春樹1)
大阪市立大学第2外科, 大阪市立大学放射線科1)
肝切除前に経皮経肝門脈枝塞栓術(percutaneous transhepatic portal embolization,以下PTPE)の施された肝細胞癌48例を対象として,PTPEが門脈枝非塞栓葉の代償性肥大を通じて肝切除適応の拡大にいかなる意義を持つかを検討した.その結果,門脈枝塞栓肝体積の大きさに比例して,PTPE直後の門脈血流量は低下,門脈圧は上昇した.また右1次および右2次分枝にPTPEの施された症例の2週後における非塞栓葉の肝体積は塞栓前に比べ有意に上昇したが,ICGR15値の上昇は軽度であった.非塞栓葉が肥大し,ICGR15値の上昇が軽度であった症例では大量肝切除が安全に施行されたが,これら所見のみられない症例の大量肝切除は慎重になるべきである.
索引用語
経皮経肝門脈枝塞栓術, 肝細胞癌, 肝切除適応の拡大, 門脈枝非塞栓肝の代償性肥大, ICGR15値
別刷請求先
広橋 一裕 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第2外科
受理年月日
1988年11月2日
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