原著
肝癌における肝切除後の早期肝動脈造影所見の検討
平出 康隆, 児島 邦明, 蔡 鴻飛, 西村 泰彦, 奥山 耕一, 中西 亮, 榛沢 隆, 木下 栄一, 深沢 正樹, 別府 倫兄, 二川 俊二, 杉浦 光雄
順天堂大学第2外科
肝細胞癌の集学的治療として,肝切除例に対し術後早期(第4~9週)に,再度肝動脈造影を施行し,腫瘍濃染像を認めた症例に対し,transarterial embolization(以下TAE)を施行し,予後の向上を計った.肝切除49例中31例に術後肝動脈造影を施行し,8例26%に腫瘍濃染像を認めた.組織学的因子の検討より,腫瘍径2 cm以上,血管侵襲・肝内転移陽性例,非治癒切除,stage II以上に多い傾向を認めた.集学的治療として同時にTAE,lipiodol TAEを施行した.腫瘍濃染像を認めた8例の3年生存率36%であった.肝切除後早期に再発をみる例もあり,術後早期の肝動脈造影による残存肝の検索と,早期治療が必要と思われた.
索引用語
肝細胞癌の集学的治療, 肝切除術後肝動脈造影, 肝細胞癌再発, 再発肝細胞癌の治療
別刷請求先
平出 康隆 〒113 文京区本郷3-1-3 順天堂大学医学部第2外科
受理年月日
1988年11月2日
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