原著
上腸間膜動脈根部におけるリンパ組織郭清の小腸吸収能に与える影響に関する実験的研究
磯部 次正
金沢大学第2外科(指導:宮崎逸夫教授)
拡大郭清術後の消化吸収障害について,上腸間膜動脈根部を郭清したイヌを用いて,リンパ再生と小腸吸収能の面より実験的に検討した.脂肪吸収能は131I-trioleinを用い胸管リンパ液を採取し測定.アミノ酸,糖質はPABA,D-xoloseを経口投与して測定した.郭清直後はリンパの鬱滞が著明で,いずれも高度の吸収障害を認めた.2から4週でリンパ系の再生が始まり,6週で鬱滞は改善するが,吸収能の改善は遅れた.20週でPABA,D-xyloseは回復したが,131I-trioleinは回復しなかった.拡大郭清術後の吸収障害の原因として,リンパ再生が不充分なため,脂肪摂取により,相対的なリンパの鬱滞が生じて起こるものが示唆された.
索引用語
拡大リンパ組織郭清, 消化吸収障害, リンパの鬱滞, リンパ再生
別刷請求先
磯部 次正 〒923 石川県能美郡辰口町字下開発ル11-1 辰口芳珠記念病院
受理年月日
1988年11月2日
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