原著
大腸粘液癌の検討
佐々木 一晃, 筒井 完, 秋山 守文*, 星川 剛, 渡部 公祥, 坂脇 剛, 中坂 光宏, 中島 康雄, 湯山 友一, 早坂 滉
札幌医科大学第1外科, *東札幌病院外科
最近の12年間の大腸粘液癌症例20例について臨床病理学的に高分化腺癌272症例と比較検討を行った.発生頻度は3.5%で,若年者に多く(p<0.05),女性に多かった(p<0.05).右側結腸に9例(45%)と高頻度に認められた(p<0.01).腫瘍径は大きく,深達度はss・al以上が95%を占め,リンパ節転移陽性例が70%と多かった(p<0.05).腹膜播種が25%に見られ(p<0.01),治癒切除率が50%と低かった(p<0.01).5年生存率は全体で41%と不良であったが,治癒切除が行われた症例では5年生存率73%と高分化腺癌症例と変わらず良好な結果であり,粘液癌が疑われる場合にはより広範囲の周囲組織切除を含めた郭清が必要であると思われる.
索引用語
大腸癌, 大腸粘液癌, 大腸癌予後
別刷請求先
佐々木一晃 〒060 札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学第1外科
受理年月日
1988年11月2日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|