原著
高齢者直腸癌治癒切除例の検討―臨床病理学的成績と遠隔成績を中心に―
関根 毅, 鈴木 章一, 須田 雍夫
埼玉県立がんセンター腹部外科
直腸癌手術症例273例のうち,70歳以上の高齢者直腸癌治癒切除症例32例について,臨床病理学的成績および遠隔成績を中心に69歳以下の症例101例と対比,検討した.切除率は80.4%,治癒切除率は62.7%であった.直接死亡率は12.5%で69歳以下の1.0%に比べて有意差がみられた.占居部位,肉眼型,組織型,壁深達度,リンパ節転移では有意差はなかった.stageではstage IIが最も多く,stage IV,Iの順であった.遠隔成績では3,5および7生率はそれぞれ45.0,40.0,35.0%で69歳以下の84.0,71.0,71.0%に比べて有意差がみられた.他病死を除くと3,5および7生率は59.3,51.9,51.9%で他病死を含めた場合に比べてやや良好な生存率を示した.再発率は28.6%で69歳以下の23.0%よりも高率であったが,有意差は認められなかった.
索引用語
高齢者直腸癌, 直腸癌治癒切除, 直腸癌術後遠隔成績, 直腸切断術, 低位前方切除術
別刷請求先
関根 毅 〒362 埼玉県北足立郡伊奈町小室818 埼玉県立がんセンター腹部外科
受理年月日
1988年11月2日
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