原著
胃底腺領域癌の臨床的ならびに病理組織化学的検討―とくに早期癌・早期癌類似進行癌を中心として―
曽和 融生, 加藤 保之, 西村 昌憲, 久保 俊彰, 前川 仁, 梅山 馨
大阪市立大学第1外科
胃底腺領域内に存在する早期胃癌15例,早期癌類似進行癌(類進癌)8例を対象として検討した.若年者,女性に多く,IIc型病変が多かった.胃体上部後壁に多く(74%),未分化型癌が87%をしめた.内視鏡像では類進例にひだの集中,ふとまり,融合像が多く,早期癌に陥凹部の発赤,凹凸の変化が有意に多かった.sm早期癌および類進癌の腫瘍間質部のalcian blue(AB),toluidine blue(TB)染色陽性率は80.0%,46.7%とAB染色陽性の粘液が多く,酵素消化試験では両染色ともtesticular hyaluronidase(THase)消化率が高く,ヒアルロン酸の存在が示唆され,またTB染色陽性例のneuraminase(Nase)消化率が高く,シアル酸の存在が認められた.かかる結果から,この部の陥凹型のあるものはlinitis plastica型胃癌に進展する可能性が示唆された.
索引用語
胃底腺領域癌, 間質粘液物質
日消外会誌 22: 2338-2343, 1989
別刷請求先
曽和 融生 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1989年6月7日
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