原著
本邦における胃切除後胆石症の現況―全国133施設のアンケート調査よリー
田島 芳雄, 手塚 幹雄, 矢尾板 勤, 門脇 淳, 小暮 洋暉
獨協医科大学第2外科
第17回日本胆道外科研究会において,胃切除後の合併症の1つとして近年注目されている胃切除後胆石症を取り上げ,アンケート調査を行った.胃切除後胆石症の総症例数は3,179例で,このうち手術を受けた症例は2,479例であった.経過観察や保存的治療を受けている症例も多く,無症状胆石が多いことが推測された.胃切除の対象となった原疾患別では胃癌が最も多く,また再建術式別ではBillroth-I法とBillroth-II法が多かった.胆石の種類(肉眼的分類)では,ビリルビンカルシウム石,黒色石などの色素胆石が多く,総胆管あるいは肝内胆石の頻度が高かった.また,胆汁からは高率に細菌が検出された.胃切除後胆石症の主な成因としては,胆嚢収縮能の低下,胆汁うっ滞,迷走神経切離の順に,関連ありとする意見が多かった.
索引用語
cholelithiasis, postgastrectomy cholelithiasis, postgastrectomy disorders
日消外会誌 23: 1078-1085, 1990
別刷請求先
手塚 幹雄 〒321-02 栃木県下都賀郡壬生町北小林880 獨協医科大学第2外科
受理年月日
1989年12月13日
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