閉塞性黄疸解除後における肝切除後肝再生に関する基礎的検討

木村　文夫, 宮崎　勝, 宇田川　郁夫, 越川　尚男, 奥井　勝二

千葉大学医学部第1外科

　閉塞性黄疸（閉黄）解除後の肝切除後再生について検討した．胆管結紮により閉黄ラットを作製し，5日（n＝32），10日（n＝38），14日（n＝26）3群の閉塞期間を設け，胆管十二指腸瘻により減黄し，閉塞解除後0から50日の減黄期間を置き，68％肝部分切除を施行した．胆管結紮後の肝蛋白，DNA，RNA含量および肝切除後の血清総ビリルビン，GOT値，再生肝DNA合成能を測定して以下の結果を得た．胆管結紮後，肝蛋白含量は3群ほぼ同様に有意の低下を示し，解除後しだいに回復した．肝RNA含量は有意の変化をしなかったのに対して，肝DNA含量は3群ほぼ同様に有意に増加した．閉黄肝の肝切除後の血清総ビリルビン，GOT値は，正常肝の肝切除後に比べ高値を示した．DNA合成能は，3群ともに著明に抑制され，閉塞5日群では解除後5日でその抑制が消失したが，閉塞10，14日群では解除後21日においても有意の抑制が認められ，DNA合成能の回復には解除後30日以上を要した．

索引用語
obstructive jaundice, liver regeneration after partial hepatectomy, DNA synthesis of the liver

別刷請求先
木村　文夫　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第1外科

受理年月日
1990年3月7日

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