原著
早期胃癌のリンパ節転移からみた術式の選択
北村 正次, 荒井 邦佳, 宮下 薫
東京都立駒込病院外科
早期胃癌580例を対象として早期胃癌に対する術式の選択について,年齢,深達度,肉眼型,腫瘍の大きさ,組織型とリンパ節転移,郭清度と予後から検討した.粘膜癌(m癌)のリンパ節転移率は3.0%,粘膜下層癌(sm癌)では17.8%であった.年齢との関係では,加齢とともにリンパ節転移率の低下がみられ,70歳以上では50歳以下に比較して有意に低率であった(p<0.05).腫瘍の大きさとの関係では,長径の増加とともに転移率の上昇をみた.組織型との関係では,分化型は未分化型より有意に(p<0.05)転移率が低く,特に70歳以上の分化型で低率であり,第2群リンパ節転移はNo.7にのみみられた.リンパ節郭清度と予後との関係では,第1群リンパ節郭清(R1)例と第2群リンパ節郭清(R2)例との間に差をみとめなかった.以上より,合併症を有する70歳以上の高齢者にたいしては,分化型,m癌であればR1手術にNo. 7を含む郭清術式が可能と考えられた.
索引用語
early gastric cancer, lymph node metastasis for early gastric cancer, limited lymph node dissection of early gastric cancer
別刷請求先
北村 正次 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1992年9月12日
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