原著
閉塞性黄疸周術期の血液凝固障害
薄場 彰, 元木 良一, 高原 光則, 又吉 一仁, 渡辺 善二郎, 竹重 俊幸, 大石 明雄, 三浦 純一, 遠藤 幸男, 井上 仁
福島県立医科大学第1外科
胆道ドレナージによる減黄術後に根治的切除術を施行した閉塞性黄疸患者12例を対象として黄疸,手術侵襲,術後合併症による血液凝固系に対する影響について凝血学的に検討した.減黄前は全例過凝固状態を示し,総ビリルビン(TB)20 mg/dl以上ではprothrombin time activity,antithrombin III(AT III),fibrinogenが減少した.またTBが20 mg/dl未満では分子マーカーレベルの減少が主体であった.減黄後には過凝固状態は消退したもののAT IIIは依然減少しており,血小板,線溶活性も亢進していた.根治手術直後は再度著明な過凝固状態を示し,術中出血量と血小板(PLT)減少率とが相関した.術直後にPLTやAT IIIが激減する症例ではその後多臓器障害(MOF)や縫合不全を合併する症例がみられた.術直後の過凝固状態は経過良好例では速やかに回復したがMOFや縫合不全合併例では遷延傾向を示した.
索引用語
perioperative period of obstructive jaundice
別刷請求先
薄場 彰 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
1990年9月12日
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