原著
高齢者大腸癌の臨床的検討
待木 雄一, 太田 博俊, 畦倉 薫, 関 誠, 上野 雅資, 西 満正, 加藤 洋*
癌研究会附属病院外科, 同 研究所病理*
1976年から1985年までの10年間の癌研外科における大腸癌手術症例917例を75歳以上の高齢者群114例と75歳未満803例に分けて,臨床病理学的特徴と手術危険因子について比較検討した.臨床病理学的には高齢者大腸癌は隣接臓器浸潤・リンパ節転移・腹膜播種の頻度が高く,Stageの進行した症例が多いため累積5年生存率も不良であった(p<0.001).また,術後の合併症の出現頻度,手術直死率は高齢者群が高く(p<0.01)高齢者の手術危険度は高かった.高齢者では術前の肺機能,PSP値,心電図所見のうち1因子でも異常を認めた症例の直死率が高く,これらの因子の術前の評価は手術危険度の予測に役立つと考えられた.
索引用語
colorectal cancer, geriatric, clinicopathological analysis, operative risks, preoperative assessment
別刷請求先
待木 雄一 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1990年9月12日
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