原著
大腸癌脳転移巣手術例の検討
柏木 宏, 小西 文雄, 佐藤 知行, 片岡 孝, 植木 広元, 宇賀神 浩人, 金沢 暁太郎, 黒川 徳一*, 増沢 紀男*
自治医科大学消化器一般外科, 同 脳神経外科*
大腸癌脳転移症例10例の臨床経過および脳外科手術の意義を検討した.手術的治療例7例のうち5例は脳転移巣手術時に他臓器転移を認め,2例は多発性脳転移であった.手術的治療例7例のうち1例は15か月の生存を得,非手術例3例はすべて3か月以内に死亡した.死因を検討すると手術的治療例7例のうち2例,非手術例3例のうち2例において脳転移が直接の死因と考えられた.また手術的治療例の7例ではすべてに脳転移症状の改善を認めた.非手術例の3例では1例に脳転移症状の軽度改善を認めたのみであとの2例では増悪した.脳転移に対する手術を施行しえたすべての症例で脳外科手術により脳転移による激烈な症状が改善され,脳転移が直接の死亡原因となった症例は少なかった.以上より,他臓器転移を有する症例に対する姑息的手術であっても大腸癌脳転移に対する脳外科手術は意義のあるものと考えられた.
索引用語
colorectal carcinoma, brain metastasis, neurosurgery
別刷請求先
柏木 宏 〒329-04 栃木県河内郡南河内町薬師寺3311-1 自治医科大学消化器一般外科
受理年月日
1990年10月11日
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