症例報告
異所性組織を有しない成人出血性Meckel憩室の1例
西本 知二, 秋岡 清一, 藤野 光廣, 飴野 弘之, 谷向 茂厚, 天池 寿, 安 達行, 池田 栄人, 武藤 文隆, 橋本 京三, 栗岡 英明, 大内 孝雄, 田中 貫一, 原田 善弘, 伊志嶺 玄公
京都第一赤十字病院外科
術前に診断困難であった出血性Meckel憩室症例を紹介する.患者は22歳の女性で17歳時より間欠的に原因不明の消化管出血を繰り返していた.その度,専門施設にて消化管の精査および99 mTc phytate腹部スキャン,99 mTc pertechnetate腹部スキャン,血管造影などの精査が行われたが,99 mTc phytate腹部スキャンにて下腹部に集積像が認められた以外には所見なく,経過観察を受けていた.1989年8月再度大量下血にて入院.出血部位は特定できなかったが,出血性Meckel憩室などを疑って開腹術を施行した.回腸末端より50 cmの小腸に4× 3 cmのMeckel憩室を認め,切除した.異所性組織を持たないMeckel憩室で,底部近くに輪状潰瘍を伴っていた.
若年者で,繰り返す原因不明の消化管出血では,99 mTc phytate腹都スキャンで下腹部に集積像が認められれば,出血性Meckel憩室を疑って開腹術を考慮すべきであろう.
索引用語
intestinal bleeding, Meckel's diverticulum, 99 mTc phytate abdominal scan
別刷請求先
西木 知二 〒605 京都市東山区本町十五丁目749 京都第一赤十字病院外科
受理年月日
1990年9月12日
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