症例報告
Gastritis cystica polyposaを母地として発生したと考えられた早期残胃癌の1例
真次 康弘, 高橋 信, 吉岡 伸吉郎, 岡島 正純, 田代 裕尊, 豊田 和広, 正岡 良之, 江藤 高陽1)
中国労災病院外科, 山陽クリニック外科1)
胃切除後の胃空腸吻合部に発生したポリープ状の粘膜隆起病変は,1965年のNikoraiらのgastritis cysticaという報告に始まり,現在ではLittlerら(1972年)のいうgastritis cystica polyposa(以下GCPと略す),あるいは古賀ら(1976年)のいうstomal polypoid hypertrophic gastritisといわれている.最近になり,GCPを母地として発生したと思われる吻合部残胃癌が報告されるようになり,その発生機序について関心が持たれている.今回われわれは,十二指腸潰瘍にて胃切除(Birlloth II法)後,36年目に発見された吻合部早期残胃癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で,胃空腸吻合部に全周性の無茎性ポリープ様病変を認め,組織学的には幼若な胃小窩上皮の過形成と幽門腺類似の粘液腺の過形成および嚢胞化が特徴的で,GCPと考えられた.さらに病巣の一部には高分化型腺癌が散在しGCPを母地として発生した吻合部早期胃癌と考えられた.
索引用語
gastritis cystica polyposa, remnant stomach cancer
日消外会誌 24: 2211-2215, 1991
別刷請求先
真次 康弘 〒737-01 呉市広多賀谷1-5-1 中国労災病院外科
受理年月日
1991年3月13日
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