症例報告
胆摘後2か月で発症した胆管断端神経腫の1例
藤野 泰宏, 佐藤 美晴, 斎藤 洋一1)
甲南病院外科, 神戸大学第1外科1)
症例は67歳,女性.胆石症にて胆嚢摘出後2か月で黄疸を主訴として発症.経皮経肝胆道造影における中部胆管狭窄像および胆汁細胞診より胆管癌と診断され保存的加療を受けていた.その後全身状態の悪化や腫瘍の増大を認めなかったため,開腹術施行.胆嚢管合流部から下部胆管にかけて,弾性硬で表面不整な5×3 cmの腫瘤を認め,膵頭十二指腸切除が施行された.組織学的には,胆管壁に肥大した神経腫が多数増生し断端神経腫を形成しており,胆嚢摘出後に生じた胆管断端神経腫と診断した.胆嚢摘出術2か月という極めて早期に閉塞性黄疸を主訴として発生し,胆管癌と鑑別困難であった胆管断端神経腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
amuputation neuroma, obstructive jaundice
日消外会誌 24: 2437-2441, 1991
別刷請求先
藤野 泰宏 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1991年4月17日
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