原著
下咽頭頸部食道癌に対する咽頭喉頭頸部食道切除術の検討―遊離空腸移植による頸部食道再建―
大村 健二, 浦山 博, 宗本 義則, 石田 文生, 平野 勝康, 川上 和之, 道伝 研司, 渡辺 洋宇
金沢大学第1外科
われわれは,これまでに下咽頭・頸部食道癌19例に対し咽頭喉頭頸部食道切除術および遊離空腸移植による頸部食道再建を施行した.その結果,術後合併症として縫合不全を1例(5.3%)に,創感染を3例(15.8%)に,腸重積を3例(15.8%)に認めた.術後の経口摂取は全例で十分量可能となり,患者自身の満足度も高かった.19例のうち術後8例が癌(原病)死し,5年生存率は27.2%であった.その再発形式をみると,局所4例,肺転移2例,脳転移2例であり,胸部および腹部のリンパ節郭清を行わなかったために再発をきたした症例はなかった.咽頭喉頭頸部食道切除術は,下咽頭,頸部食道に癌腫が限局しており,かつ画像診断上,胸部および腹部リンパ節に転移を疑わせない症例に対する切除術式として妥当であると思われた.また,かかる切除術後の頸部食道再建法として,遊離空腸移植は安全で優れた方法と思われた.
索引用語
reconstruction of cervical esophagus, free jejunal autograft, carcinoma of hypopharynx and cervical esophagus
別刷請求先
大村 健二 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1992年1月8日
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