症例報告
急性胆嚢炎に併発した胆汁性仮性嚢胞の3治験例
大滝 修司, 山川 達郎, 三芳 端*, 飯泉 成司*, 岸 いずみ**, 稲葉 午朗**
帝京大学医学部附属溝口病院, たちばな台病院*, 七沢リハビリテーション病院**
胆汁性仮性嚢胞(biloma)は,肝あるいは胆道系の外傷や手術後合併症として,また経皮経肝胆道造影やドレナージなどによって,胆汁が肝被膜下などに被覆された状態で流出し形成された2次的嚢胞であり,1979年にGouldらにより初めて記載された.しかしながら,このような既往なしに発症することもまれながら報告されている.われわれは胆嚢炎の穿通が原因となったbilomaを3例経験した.1例は手術までの比較的短期間にbilomaが消失した興味ある症例であり,また他の1例は手術前にbilomaをドレナージしたが,症状は軽快せず手術にて完治した症例であった.残る1例は原因となった胆嚢を穿刺ドレナージすることでbilomaが消失した症例である.これら3例の経験から,胆嚢炎の消退により流出した胆汁(biloma)は,胆嚢に還流することで自然消失することが示唆され,胆嚢炎が原因となったbilomaは,まず胆嚢炎に対する何らかのアプローチが大切であると考えられた.
索引用語
biloma, cholecystitis
日消外会誌 25: 1100-1104, 1992
別刷請求先
大滝 修司 〒213 川崎市高津区溝口74 帝京大学附属溝口病院外科
受理年月日
1991年12月10日
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