症例報告
成人腸管逆回転症の1例
村田 裕彦, 柴田 俊輔*, 菅沢 章*, 村田 陽子*, 前田 迪郎*, 清水 法男**
西伯町国民健康保険西伯病院外科, 鳥取大学第1外科*, 同 救急部**
症例は78歳,男性.約2週間来の間欠的腹痛と胆汁性嘔吐を主訴に来院.注腸造影で盲腸・上行結腸の内上方偏位と横行結腸の壁外性狭窄を,上部消化管造影で十二指腸空腸移行部の右側偏位と壁外性閉塞を認め,腸管逆回転症を疑い手術を行った.Amir-Jahed III型の逆回転症で,十二指腸空腸移行部周囲の異常癒着の瘢痕性変化により閉塞を来していた.軸捻転はなく,癒着を剥離し腸管を無回転の位置とするLadd手術を行った.
腸管逆回転症本邦報告35例中成人例は13例,手術施行31例中術前診断が得られていたのは7例のみであった.最近の報告例ではほとんどLadd手術が行われていた.本症はまれな疾患であるが,注腸および上部消化管造影所見は特徴的であり,反復する腸閉塞症状を有し開腹歴のない患者では本症を念頭におき検索を進めることが早期診断および術中の正しい解剖学的理解と適切な処置につながるものと考えられた.
索引用語
anomaly of intestine, reversed rotation, adult
日消外会誌 25: 1118-1122, 1992
別刷請求先
村田 裕彦 〒683-03 鳥取県西伯郡西伯町倭397 西伯町国民健康保険西伯病院
受理年月日
1991年12月10日
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