症例報告
大腸4多発癌と異時性胃重複癌の1例
朝蔭 直樹, 冨木 裕一, 林田 康隆, 榊原 宣, 平井 周
順天堂大学外科学教室(外科学第1), 同 病理学第1講座*
症例は90歳,女性.第1癌は上行結腸癌で2型の粘液癌,1978年に右半結腸切除術施行.第2,3癌は直腸癌で,第2癌はRbの2型の高分化腺癌,第3癌はRsのIsp型のcarcinoma in adenoma,1984年に低位前方切除術施行.第4癌はIIc型早期胃癌で高分化型管状腺癌.1986年より現在(1991年4月)まで経過観察中.第5癌は横行結腸癌で2型の高分化腺癌,1989年に横行結腸部分切除術施行.
原発性多重複癌の症例は診断技術の進歩,治療成績の向上,平均寿命の延長などにともない増加傾向を示している.今回16年間にわたり上行結腸癌・直腸癌・横行結腸癌の手術が施行され,現在早期胃癌にて経過観察中の異時性消化管多重複癌の症例を経験した.大腸4多発癌と異時性胃重複癌の報告はきわめてまれであるので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
multiple primary malignant tumors, heterochronous cancers
日消外会誌 25: 1136-1140, 1992
別刷請求先
朝蔭 直樹 〒113 文京区本郷3-1-3 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1991年12月10日
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