特集
胸部食道癌郭清術式決定におけるリンパ節転移の術前評価の意義
松原 敏樹, 奥村 栄, 植田 守, 太田 淳, 西 満正
癌研究会附属病院外科
胸部食道癌切除198例についてリンパ節転移の術前評価と病理所見,手術成績との関係を調べた.術前評価は(-),(±),(+),(++)の4段階で評価した.
1.画像診断上異常所見を呈しない微小転移がまれではなく,転移診断のsensitivityには限界があった.それでも,気管周囲,胃上部のsensitivityは中下縦隔にくらべて良好であった.これらのリンパ節はpoor risk例で縮小手術の適応を検討する上で重要である.2.転移診断のspecificityは良好で,(+)以上を陽性とすると95%以上であった.3.右反回神経沿線や胃上部が(++)の例や左傍気管(±)以上の例は他と比べて手術成績が有意に不良であった.また,胃上部(++)では腹部傍大動脈再発が高率であった.これらの例ではそれぞれ胸骨切開による頸胸境界部郭清や腹部左傍大動脈郭清が望ましい.4.転移陽性例の手術成績は術前評価(++)例を除いて術前評価との関連はみられなかった.
索引用語
lymph node assessment in cancer of the thoracic esophagus, esophageal neoplasm, dissection procedure for cancer of the thoracic esophagus
日消外会誌 25: 1145-1150, 1992
別刷請求先
松原 敏樹 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1991年11月20日
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