特集
術前血管造影所見からみた胃癌の術式選択
沢井 清司, 高橋 俊雄, 谷口 弘毅, 岡野 晋治, 徳田 一*, 高橋 滋*
京都府立医科大学第1外科, 京都第二赤十字病院外科*
胃癌735例に対する血管造影診断の意義について検討し下記の結果を得た.(1)腹膜転移診断能はsensitivity75.4%(86/114),accuracy 93.2%(685/735)で他の画像診断より優れていた.(2)肝転移診断能はsensitivity 80.6%(50/62),accuracy 97.6%(717/735)で,他の画像診断と同程度であった.(3)壁深達度診断はm・sm,pm,ss・se,si・seiの4段階診断を行い80.2%(486/606)の正診率であった.(4)深達度診断結果からリンパ節郭清の範囲をm・smにはR2,pmにはR3,ss~seiにはNo.16を含む広範囲郭清と決定しえた.(5)栄養動脈を判定してリンパ節転移との関係を検討した結果,判定不能例にはR1郭清,左下横隔動脈,左胃動脈,左胃大網動脈,短胃動脈および後胃動脈のみによって栄養される症例にはR2郭清,右胃動脈,右胃大網動脈および幽門枝動脈のみによって栄養される症例にはR3郭清,左右両方の動脈から栄養される症例にはNo.16を含む広範囲郭清が適応となった.
索引用語
angiography for gastric cancer, diagnosis of peritoneal dissemination, feeding artery of gastric cancer
日消外会誌 25: 1151-1155, 1992
別刷請求先
沢井 清司 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1991年11月20日
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