特集
術前診断からみた手術術式の決定―肝細胞癌―
山崎 晋, 高山 忠利, 小菅 智男, 島田 和明, 山本 順司, 長谷川 博*
国立がんセンター病院外科, 茨城県立中央病院*
肝細胞癌の術式決定に関わる因子は多彩である.主たるものは肝機能の程度と癌の解剖学的進展の程度であるが前者が優先される.生化学検査による肝機能の評価は非癌部の病理学的変化と必ずしも平行しないので,開腹後の肉眼的または組織学的観察を加味して最終決定する.癌の進行程度も術前の画像診断のみでは不十分で,開腹後の術中超音波検査および生検所見を待って最終決定がなされる.われわれは生化学検査の5項目からなるrisk scoreを肝機能評価の一指針としているが,これですべての方針が決められる訳ではない.肝細胞癌に旺盛な経門脈性肝内血行性転移を考慮すると,耐術する範囲で広範に切除すれば,より良い遠隔成績(無再発生存率)が得られると期待される.しかし現在までに得られた成績は,この考え力を支持していない.肝機能を温存し集学的治療を駆使するという選択肢も有効である.
索引用語
hepatocellular carcinoma, risk score, hepatectomy
日消外会誌 25: 1166-1170, 1992
別刷請求先
山崎 晋 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1991年11月20日
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