特集
術前診断からみた胆管癌の術式の決定
田代 征記, 辻 龍也, 金光 敬一郎, 神本 行雄, 平岡 武久, 宮内 好正
熊本大学医学部第1外科
胆管癌切除85例を対象に術前診断からみた術式の選択を検討した.下部胆管癌の進展様式として胆管壁内浸潤が上方まで示すものがあった.n0例でもSMA周囲神経叢あるいは結合織内に癌浸潤を認めた.PD+IORの予後はPDのみより良好であった.以上から左右肝管直下まで切除するPD+IORが選択されるべきである.中部胆管癌の進展様式として上方,下方への胆管壁浸潤の他に,解剖学的に門脈が浸潤されやすかった.胆管切除の8例が非治癒切除となり予後も悪かった.PD例で治癒切除は増加したが,予後はそれほど上がっていない.以上から術式として左右肝管別々に切除するPDが必要で,ew(+)をなくすため積極的に血管合併切除し,IORを追加すべきである.肝門部胆管癌では尾状葉合併肝切除群の予後がよく,解剖学的に右肝動脈が浸潤されやすく,肝右側切除が2/3を占めた.以上から積極的に尾状葉合併肝切除を行い,場合により血管合併切除して治癒切除に努めるべきである.
索引用語
cancer of the bile duct, preoperative diagnosis, selection of operative procedure
日消外会誌 25: 1175-1180, 1992
別刷請求先
田代 征記 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1991年11月20日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|