原著
胃癌胃切除後症例における骨病変および骨代謝の検討
添田 耕司, 落合 武徳, 永田 松夫, 鈴木 孝雄, 磯野 可一
千葉大学第2外科
胃癌胃切除後の骨病変および骨代謝について検討した.対象症例は臨床的に癌再発を認めない胃癌術後外来例12例であった.平均年齢は64歳,平均術後期間は33か月,幽門側胃切除7例,胃全摘5例であった.骨関節症状は6例に認めたが,術後発症は3例であった.65歳以上群と術後30か月以上群で手指骨X線像に変化が多く認められたが,Microdensitometry(MD)法では差がなかった.65歳以上群7例では未満群5例に対しparathyroid hormone(PTH)-Intactおよび無機リン(IP)が高値を示し,glomerular filtration rate(GFR)および血清Caが低値を示していた.胃全摘群では幽門側胃切除群にくらべPTH-MID,オステオカルシンおよびアルカリフォスファターゼ(AlP)が高値を示した.またオステオカルシンとPTH-MIDおよびAlPとの間に相関が認められた.以上より,65歳以上群ではGFRの低下とともにosteoporosisが進行し,胃全摘群ではCa摂取量の低下によりオステオカルシンなどが高値を示し,骨代謝回転が異常に亢進しているものと推察された.
索引用語
bone disorders after gastrectomy, parathyroid hormone, glomerular filtration rate, osteocalcin, microdensitometry
日消外会誌 25: 2682-2689, 1992
別刷請求先
添田 耕司 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1992年7月6日
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