原著
活性酸素の消長よりみたエンドトキシンショックに対する抗酸化剤・蛋白分解酵素阻害剤の作用―in vivo,in vitroでの実験的検討―
田口 順, 門田 俊夫, 玉態 正悦
防衛医科大学校第1外科
Endotoxinショック時の循環・臓器障害への活性酸素の関与と,これに対する抗酸化剤・蛋白分解酵素阻害剤の効果をラット実験モデルで検討した.Endotoxin 4 mg/kgを静注して血圧・肝組織血流をモニターし,好中球O-2産生能,肝組織過酸化脂質を計測し,肝臓からの化学発光の変化,肝細胞mitochondriaの変化を観察した(n=16).その結果,一過性の血圧・血流の低下と同時に,好中球O-2産生能の上昇,肝組織過酸化脂質の増加,肝臓からの化学発光の増強を認めた.また,肝細胞mitochondriaの崩壊が観察されendotoxinショック時の病態に活性酸素が関与していることが示唆された.さらにsuperoxide dismutase 1.5万単位+catalase 4 mg,CoQ105 ml/kg,Solcosery14 ml,nafamostat mesilate 10 mg/kg,ulinastatin 10万単位/kg(各n=6)の前投与を開始して同様に実験を行い比較した結果,各薬剤で抑制傾向が認められ抗酸化剤・蛋白分解酵素阻害剤の予防効果を認めた.
索引用語
endotoxin shock, active oxygen, antioxidant, protease inhibitor
日消外会誌 25: 2690-2698, 1992
別刷請求先
田口 順 〒737-21 広島県安芸郡江田島町無番地 自衛隊江田島病院
受理年月日
1992年6月17日
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