原著
中下部胆管癌手術症例の臨床病理学的検討
藪下 和久, 小西 孝司, 辻 政彦, 斉藤 文良, 佐原 博之, 福島 亘, 角谷 直孝, 谷屋 隆雄, 黒田 吉隆, 三輪 淳夫*
富山県立中央病院外科, 同 臨床病理科*
過去16年間に経験した中下部胆管(Bm,Bi)癌手術症例49例につき,臨床病理学的所見,予後に関し検討した.全症例における切除率は91.8%,切除例の5年生存率は31.2%であり,7例の5年生存例(長期生存例)を得た.Stage分類では,Stage III,IV症例が過半数を占め,Stageの進行とともに生存率の低下を認めた.肝転移例は8.2%,腹膜播種例は4.1%,リンパ節転移(n)例は37.8%であり,リンパ節転移陽性例の生存率は陰性例に比べ有意に低かった.Bi癌,Bm癌とも高頻度に膵臓浸潤(panc),十二指腸浸潤(d)を認めたが,漫潤の有無において予後に差は認められなかった.組織学的には,高頻度にリンパ管浸潤(ly),神経周囲浸潤(pn)を認めたが,浸潤陰性例の予後は良好であった.長期生存例からみた場合,予後規定因子としてn,ly,pn因子が重要であり,panc,d因子は予後規定因子とはなりえず,取扱い規約におけるStage分類を再考する必要性が示唆された.
索引用語
bile duct cancer in middle and distal portions, long term survivor of bile duct cancer, prognostic factor of bile duct cancer
日消外会誌 25: 2724-2731, 1992
別刷請求先
藪下 和久 〒930 富山市西長江2-2-78 富山県立中央病院外科
受理年月日
1992年7月6日
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