原著
遠位側小腸大量切除のビタミンDおよび骨代謝に及ぼす影響に関する実験的検討
今村 幹雄, 山内 英生
国立仙台病院外科
ビーグル成犬を用いて消化吸収障害モデルとして75%の(遠位側)小腸大量切除を施行し,6か月後まで栄養状態と血中ビタミンD分画の変動を観察し,6か月後には腰椎を摘出し組織学的検討と骨形態計測を行った.また,術後,ウルソデオキシコール酸(UDCA)と活性型ビタミンD3製剤(1α(OH)D3)の併用投与や後者の単独投与を行い,その効果を検討した.
遠位側小腸大量切除により体重減少,水様便,消化管通過時間の短縮など消化吸収障害が発生したが,UDCAと1α(OH)D3の併用投与は栄養状態を改善した.また,25(OH)Dや24・25(OH)2Dの減少などビタミンD代謝にも明らかな変化をもたらした.術後6か月では類骨の量と幅の減少,骨形成率の低下などが生じ骨基質形成不全が示唆され,長期経過後には骨量減少が生ずることが予想された.UDCAおよび1α(OH)D3の併用投与は骨基質形成障害を軽減した.
索引用語
massive bowel resection, beagle dogs, ursodeoxycholic acid, vitamin D metabolites, bone histomorphometry
日消外会誌 25: 2743-2749, 1992
別刷請求先
今村 幹雄 〒983 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1992年6月17日
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