原著
大腸癌の深部浸潤に伴う核DNA量の変化―そのheterogeneityについて―
今田 敏夫, 須田 嵩, 鬼頭 文彦, 岡田 賢三, 岡田 卓子, 福沢 邦康, 森脇 義弘, 秋山 浩利, 竹村 浩, 松本 昭彦1)
済生会横浜市南部病院外科, 横浜市立大学第1外科1)
大腸癌31例(62切片)を対象にして,癌が浸潤していく過程において,核DNA量,DNA index,S-phase fractionに,どのような変化が生じるか(癌のheterogeneity)を明らかにすることを目的とし,本研究をおこなった.
1個の癌巣内の表層,深層組織間でDNA ploidy patternの異なる例は,31例中3例(9.7%)のみで,DNA indexは表層2.18,深層2.11と差はなく,またS-phase fractionも,各々,30.4%,28.6%と有意差を認めなかった.
以上の結果から,大腸癌において,表層の癌が深部浸潤する場合は1つのクローンのみが浸潤すると考えられ,表層と深層の癌細胞間のDNA heterogeneityは少ないと考えられた.
索引用語
DNA content of colorectal carcinoma, heterogeneity, flow cytometry
日消外会誌 25: 2760-2764, 1992
別刷請求先
今田 敏夫 〒233 横浜市港南区港南台3-2-10 済生会横浜市南部病院外科
受理年月日
1992年6月17日
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