症例報告
放射線照射後にexpandable metallic stentを用いて内胆汁瘻化しえた悪性胆道閉塞の2例
田中 厚志, 伊関 丈治, 中島 信明*, 鈴木 憲次, 渡辺 稔, 袴田 光治, 高木 正和, 中上 和彦, 遠山 和成
静岡県立総合病院外科, 同放射線科*
体外照射ないし胆管腔内照射後にexpandable metallic stent(EMS)を用いて内胆汁瘻化しえた2症例を経験した.症例1は61歳の男性で,胃癌術後に肝左葉から肝門部に至る広範囲な転移を生じ,圧排性の完全胆道閉塞を認めた.Linacによる50 Gyの体外照射を実施し閉塞部の再開通を確認後,同部にEMSを留置し内胆汁瘻化を達成した.症例2は78歳男性で,下部胆管癌による完全胆道閉塞を認めた.体外照射28 Gyを実施し閉塞部の再開通を確認した後,60Coのremote afterloading system(RALS)を用いた胆管腔内照射に変更し,4回の照射終了後にEMSを留置し内胆汁瘻化を達成した.両症例とも外胆汁瘻チューブから解放された状態で退院することができた.
手術非適応と判断された悪性胆道閉塞に対し,放射線照射およびEMSの併用により内胆汁瘻化を図ることは,quality of lifeを高めるうえで有用と考えられた.
索引用語
malignant biliary obstruction, remote afterloading system, expandable metallic stent
日消外会誌 25: 2833-2837, 1992
別刷請求先
田中 厚志 〒411 静岡県駿東郡清水町長沢260-3 岡村記念病院
受理年月日
1992年7月6日
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