症例報告
術前MRI検査が有用であった膵のsolid and cystic tumorの1例
内山 正一*, 高橋 真佐司, 矢野 正雄, 庄司 佑**
湯河原厚生年金病院外科(*現 東急病院外科), 日本医科大学第2外科**
膵のsolid and cystic tumor(SCT)の1例を経験したので報告する.症例は18歳の女性で主訴は心窩部痛と背部痛.胃内視鏡検査で胃の圧排像を指摘され入院となる.入院時臨床検査所見では異常を認めず.超音波検査,computed tomography,magnetic resonance imaging検査より膵体部に発生したSCTを強く疑い手術を施行した.開腹したところ,際体部によく被包化された9×7×7 cmの腫瘤が存在し,膵体尾部切除兼脾摘術を行った.肉眼的に厚い線維性被膜を有し内部に著明な出血壊死巣を認めた.病理組織学的には腫瘍細胞は充実性の増殖を示し,一部に偽乳頭状の構造が見られ,xanthoma cellの集簇とcholesterol granulomaの出現を認めた.免疫組織学的にはalpha-1-antitrypsinが陽性で,電顕上zymogen様顆粒が認められた.以上よりSCTと診断した.術後6か月の現在再発なく健在である.
索引用語
solid cystic tumor
日消外会誌 25: 2838-2842, 1992
別刷請求先
内山 正一 〒145 大田区北千束1-45-6 東急病院外科
受理年月日
1992年6月17日
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