症例報告
長期生存中の胃平滑筋肉腫肝転移の2例
池田 公正, 柴田 信博, 藤本 直樹, 相川 隆夫, 檜垣 直純, 野口 貞夫
西宮市立中央病院外科
長期生存中の胃平滑筋肉腫肝転移の2例を経験した.症例1は70歳の男性で,噴門側胃切除後1年7か月目に肝転移を認め,肝部分切除および門脈内注入化学療法を施行した.肝切除後3年5か月無再発生存中である.症例2は51歳の男性で,術後の残胃に発生した平滑筋肉腫例である.残胃全摘後2年8か月目に肝に転移を認めた.肝動脈塞栓術を計3回施行し,腫瘍の縮小は認めなかったものの,肝転移の診断より4年10か月生存中である.胃平滑筋肉腫の肝転移の予後は不良といわれているが,いずれの2症例も長期生存を得ている.また本邦における肝切除術16例の術後平均生存期間は19.1か月であり,これらの中にも2年以上の長期生存例が5例認められた.胃平滑筋肉腫の肝転移に対しては,適応があれば肝切除術を施行し,適応のないものに対しては肝動脈塞栓術を反復施行して延命効果を期待すべきであると思われた.
索引用語
gastric leiomyosarcoma, liver metastasis
別刷請求先
池田 公正 〒663 西宮市林田町8-24 西宮市立中央病院外科
受理年月日
1992年10月7日
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