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第26巻 第4号 1993年4月 [目次] [全文 ( PDF 532KB)]
特集

膵癌に対する拡大手術の評価

中迫 利明, 羽生 富士夫, 今泉 俊秀, 鈴木 衛, 原田 信比古, 羽鳥 隆, 新井 俊男, 広瀬 哲也, 福田 晃, 宗像 茂

東京女子医科大学消化器外科

 通常型膵癌切除例284例を対象に,拡大群,対照群の2群にわけ拡大手術の評価を行った.
 拡大手術後の合併症,手術死亡はおのおの膵頭部癌で19%,4%,膵体尾部癌で29%,0%と拡大手術は安全に行われていた.拡大手術の治癒切除率は膵頭部癌で49%,膵体尾部癌で71%と向上がみられ,膵頭部癌では拡大手術で9例の5年生存が,膵体尾部癌では拡大手術で50%生存期間の延長がえられており拡大手術の意義が認められた.組織学的進行度は拡大群,対照群間で差はなく,stage III+IVは膵頭部癌で85%,膵体尾部癌で95%以上と大多数が進行癌であり,膵前方浸潤,膵後方浸潤,リンパ節転移も高率に認め,ほとんどすべてに拡大手術を適応すべきと考えられた.しかしながら,臨床病期IV期では拡大手術後の治癒切除は0%,1生率は8%,2生率は0%と拡大手術の適応外と考えられた.また,拡大手術によっても高率に認める後腹膜再発,肝転移に対しては集学的治療法を確立することが急務と考えられた.

索引用語
pancreatic cancer, extended radical operation, recurrence

日消外会誌 26: 1147-1151, 1993

別刷請求先
中迫 利明 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科

受理年月日
1992年12月9日

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