症例報告
挙上胃管にシャント術を加えた胃静脈瘤合併胸部食道癌の1例
奥芝 俊一, 加藤 紘之, 郷 仁, 金谷 聡一郎, 道家 充, 下沢 英二, 井川 浩晴*, 宮坂 史路**, 堀田 彰一**
北海道大学医学部第2外科, 同 形成外科*, 北海道消化器科病院**
食道胃静脈瘤に対し,内視鏡的硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy)を施行し,経過観察中に食道癌を認めた症例につき術式上の工夫を加えたので報告する.症例は54歳の男性.1988年8月,食道静脈瘤破裂に対しEISにて止血した後,5か月にわたり頻回の追加治療を受けた.その後,経過観察していたが,1991年5月,食道内視鏡検査で下部食道(Ei)に発赤を認め,生検を行った結果,扁平上皮癌(深達度ep)の診断でレーザー治療を受けた.1992年1月,Eiに再び癌を認めたため,手術目的で入院となった.術前内視鏡では,食道静脈瘤は改善されていたが,胃静脈瘤を認めた.非開胸食道抜去,胸壁前胃管再建に短胃静脈―外頸静脈吻合を加えた結果,胃管鬱血,静脈瘤の増悪に対処しえて良好な予後が得られた.
索引用語
esophago-gastric varices esophageal cancer, shunt operation
日消外会誌 27: 1060-1064, 1994
別刷請求先
奥芝 俊一 〒060 札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学医学部第2外科医局
受理年月日
1993年12月8日
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