症例報告
術前経皮経肝門脈造影が有用であった左側胆裏・肝内門脈枝分岐異常を伴った肝嚢胞腺腫の1切除例
竹村 茂一, 山崎 修, 李 光春, 森 昭文, 池田 一雄, 木下 博明*, 広橋 一裕*
大阪市立桃山市民病院外科, 大阪市立大学第2外科*
肝内門脈枝分岐異常に左側胆嚢を伴った肝嚢胞腺腫の1切除例を報告する.
症例は55歳の男性.右季肋部痛を主訴として来院し,腹部超音波検査とCT像上,肝嚢胞腺腫または腺癌が疑われた.また左側胆嚢と右門脈臍部や右肝円索などの肝内門脈枝走行異常を合併しており,肝区域の同定に難渋した.そこで術前に経皮経肝門脈造影を施行し,肝内門脈分岐形態を把握して安全に手術を施行しえた.
近年,通常の門脈左枝臍部を欠き,右枝臍部形成や右肝円索を呈する肝内門脈枝分岐異常が左側胆嚢症例に合併したとの報告が散見される.自験例のように肝切除が考慮される症例では術前に十分な区域診断を行う必要がある.
索引用語
left-sided gallbladder, anomalous branching of the intrahepatic portal vein, biliary cystadenoma of the liver
日消外会誌 27: 2243-2247, 1994
別刷請求先
竹村 茂一 〒545 大阪市阿部野区旭町1-5-7 大阪市立大学第2外科
受理年月日
1994年6月8日
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