原著
CDDP前処理ヒト膵癌細胞株PH101のエフェクターリンパ球に対する感受性の増強
山口 佳之, 野間 浩介, 宮原 栄治, 船越 真人, 高島 郁博, 峠 哲哉
広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科
CDDP処理によるヒト膵癌細胞株の抗腫瘍エフェクター細胞に対する感受性の増強に関し,in vitroにて検討した.PH101はIFN-γおよびCDDP処理によりLAK細胞に対する感受性が増強された.フローサイトメトリーでは,IFN-γ処理によりHLA class lおよびICAM-1の発現が増強されたが,CDDP処理ではこれらの細胞表面抗原の変化は認められなかった.CDDP処理PH101細胞の障害活性は,CDDP処理PH101細胞をcold targetとしてeffector phaseに添加することで有意に抑制されたが,CDDP非処理PH101細胞ではほとんど抑制されなかった.以上より,CDDPはPH101細胞の抗腫瘍性エフェクター細胞に対する感受性を増強し,この背景として,CDDPによるなんらかのtarget determinantのモジュレーションが示唆された.このような機序の解明により,化学療法と免疫療法の理論的かつ具体的な併用の方向性が示され,より効果的な治療法が開発されよう.
索引用語
CDDP, PHLA-class 1, ICAM-1, LAK, IFN-gamma
別刷請求先
山口 佳之 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科
受理年月日
1994年10月12日
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