症例報告
Indocyanine green排泄異常症を伴った肝細胞癌の1手術例
金 祐鎬, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 堀 明洋
大垣市民病院外科
Indocyanine green(ICG)試験において停滞率が70%と異常高値を示す肝細胞癌症例を経験した.他の血液生化学検査に異常はなく,いわゆるICG排泄異常症と診断した.術前肝機能評価のために,腹腔鏡による観察および非腫瘍部の肝生検を行い,慢性活動性肝炎の所見を得た.次にカラードップラー超音波検査を行い,肝内血流に異常がないことを確認した.最終的には術中,片葉阻血下に動脈血中ケトン体比を測定することにより,安全に肝左葉切除術を施行しえた.
ICG排泄異常症における肝切除術式の決定は困難であるので,今後症例の集積とともに,新たな肝予備能検査法の確立が必要であろう.
索引用語
constitutional Indocyanine green excretory defect, hepatocellular carcinoma, left hepatic, lobectomy
別刷請求先
金 祐鎬 〒503 岐阜県大垣市南頬町4-86 大垣市民病院外科
受理年月日
1994年10月12日
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