症例報告
大量下血で発症した小腸神経鞘腫の2例
勝又 健次, 谷 千秋, 中山 正*, 加藤 孝一郎, 星野 伸二*, 久保内 健生, 林 幹也, 山本 啓一郎*, 木村 幸三郎, 芹沢 博美**
東京医科大学第3外科, 東京医科大学八王子医療センター外科*, 同 病院病理**
大量下血で発症した小腸神経鞘腫の2例を経験した.症例1は48歳の女性で,突然の大量下血で来院し,出血シンチグラフィーで上腸間膜動脈末梢領域の出血と診断され開腹時所見でTreitz靭帯より約30 cmに管外性に発育する腫瘍を認めた.病理では核異型を認めるがAntoni-A typeの良性の神経鞘腫と診断された.症例2も48歳の女性で腹痛,大貴下血で来院し,上腸間膜動脈血管造影にて実質相で腫瘍濃染像を認め,小腸腫瘍の疑いで開腹し,Treitz靭帯より約70 cmに腫瘍を認め,病理学的に核分裂像を認め悪性神経鞘腫と診断された.理学上腫瘍血管に富むため出血シンチグラフィー,血管造影が有効であり,病理組織学的にもまれな症例であった.
索引用語
massive melena, schwannoma of the small intestine
別刷請求先
勝又 健次 〒193 八王子市館町1163 東京医科大学八王子医療センター
受理年月日
1994年10月13日
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