症例報告
門脈ガス血症を伴った急性上腸間膜動脈閉塞症の1手術治験例
三好 和也, 松井 武志, 雁木 淳一, 和久 利彦, 折田 薫三*
公立周桑病院外科, 岡山大学第1外科*
門脈ガス血症は,さまざまな疾患に伴ってみられる比較的まれな病態であり,一般に予後不良の徴候とされている.特に,本症を伴う急性上陽間膜動脈閉塞症の予後はきわめて不良であることが知られ,過去にわずか4例の救命例が報告されているにすぎない.
症例はBuerger病の既往を有する64歳の男性で,突然発症した腹部の疝痛を主訴に来院した.腹部X線検査では,右上腹部に拡張した小腸ガス像を認めたが,門脈内のガス像は描出されなかった.腹部computed tomographyでは,肝内門脈内に樹枝状に広がるガス像を認めた.発症後13時間にて開腹したところ,回腸の一部が壊死に陥っていたため,壊死腸管を40 cmにわたり切除し,端々吻合にて再建した,術後経過は良好であった.
索引用語
hepatic portal venous gas, superior mesenteric artery occlusion
別刷請求先
三好 和也 〒799-13 東予市壬生川131 公立周桑病院外科
受理年月日
1994年10月12日
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