卒後教育セミナー
直腸癌に対する縮小手術
森谷 宜皓
国立がんセンター中央病院外科
側方郭清などのリンパ節郭清を伴う自律神経温存術を進行直腸癌に対する標準術式と考えれば,局所切除,自律神経完全温存術,endoscopic mucosal resection(EMR),laparoscopy assisted colectomy(LAC)などは縮小手術とみなされる.局所切除と完全温存術に焦点を絞り適応,手技の要点,機能的予後を解説した.局所切除術はm癌やsml程度の浸潤癌に用いるべき術式で,sm massiveが疑われる症例には腸管切除を行うべきである.肛門管に掛かれば経括約筋的アプローチも必要であるがかなりの症例は経仙骨的切除で十分で,術後合併症も少ない.欧米に比較し我が国の適応基準は狭く厳格なものである.完全温存術は早期癌やリンパ節転移のないmp癌に採用されるべき縮小手術で,本術式後の排尿・性機能は極めて良好である.男性性機能の客観的評価にはrigiscanによるNPTの測定が重要である.補助療法の進歩により縮小手術の適応がさらに広がることを期待する.
索引用語
local excision, nerve-sparing operation, early rectal cancer
別刷請求先
森谷 宜皓 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院外科
受理年月日
1994年11月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|