原著
食道癌術後高ビリルビン血症の検討
本山 悟, 阿保 七三郎, 北村 道彦, 斉藤 礼次郎, 橋本 正治, 泉 啓一, 四釜 俊夫, 天満 和男, 鎌田 収一, 南谷 佳弘
秋田大学第2外科
1989年から1993年までの過去5年間に胸腹部食道癌で後縦隔経路頸部食道胃管吻合術が施行され,術後合併症なく経過した93例を対象とした.これらを高ビリルビン血症(以下,高ビ血症と略記)発生群と非発生群に群別し,両群間におけるビリルビン値の推移,術中因子,プロスタグランジンE1使用との関連などについて比較検討した.
結果:高ビ血症発生率は44.1%であった.高ビ血症発生群ではビリルビン値は第3病日から第5病日にかけて直接ビリルビンを中心に急激に上昇した.術中因子では出血量,総輸血量が有意に多かった.また胸腔内手術時間,術中収縮期血圧80 mmHg以下の時間が長い傾向にあった.白血球分画では単球とビリルビンの推移が類似していた.またプロスタグランジンE1使用群では高ビ血症の発生率が抑えられた.これより高ビ血症発生には術中術後の循環動態が関与し,プロスタグランジンE1はこれを抑制すると考えられた.
索引用語
esophageal cancer, postoperative hyperbilirubinemia, pathogenesis of hyperbilirubinemia, hemodynamic factors, prostaglandin E1
日消外会誌 28: 1919-1925, 1995
別刷請求先
本山 悟 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第2外科
受理年月日
1995年5月17日
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