原著
肝切除術後ドレーン管理法の臨床的検討
池田 正孝, 後藤 満一, 永野 浩昭, 左近 賢人, 金井 俊雄, 梅下 浩司, 蓮池 康徳, 門田 守人
大阪大学医学部第2外科
肝切除後ドレーンの意義とその至適留期間を明らかにするため,肝切除症例54例を対象とし,ドレーンを段階的に抜去する従来のドレーン管理を行った29例(A群)と,胆汁漏,出血,難治性腹水などの合併症がないことを確認し,ドレーンを1期的に抜去した25例(B群)について,ドレーン留置,あるいは,抜去に伴う合併症の有無とドレーン留置期間,入院期間を比較した.合併症を認めたA群(n=12)とB群(n=6)の症例では,両群とも治療を目的としたドレーン留置を余儀なくされ,ドレーン留置期間,入院期間に有意差は認めなかった.合併症のなかったA群(n=17)のドレーン留置期間,術後入院期間はおのおの14.8±6.7日,24.8±10.4日であったのに対し,B群(n=19)ではおのおの8.7±2.5日,15.6±2.8日と有意に短縮され,1期的ドレーン抜去による,腹腔内感染症は認めなかったことより,肝切除後,合併症を認めない症例では早期のドレーン抜去が推奨された.
索引用語
postoperative drainage after hepatic resection, open and closed drainage system, postoperative hospital stay after hepatic resection, bacterial translocation after hepatic resection
日消外会誌 28: 1926-1932, 1995
別刷請求先
左近 賢人 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1995年5月17日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|